すごく久しぶりの投稿になりますが、ずっと続けているアカデミー賞予想は欠かさずやらなければいけません。
今年の第90回、主役不在の混戦から、まさかの7つ巴といった大激戦に変貌しているようです。ノミネートの目処は立ちながらも、受賞の目処が立たない部分がまだいくつかありますが、現時点での受賞予想も交えながらノミネート予想を全部門でまとめてみます。
<作品賞>
◎『スリー・ビルボード』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『君の名前で僕を呼んで』
◯『レディ・バード』
『ゲット・アウト』
『ダンケルク』
『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』
『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
『I,Tonya』
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『フロリダ・プロジェクト』
『ファントム・スレッド』
『マッドバウンド 哀しき友情』
ゴールデン・グローブ賞を勝ち取り、ムード的にも主役に躍り出たのは『スリー・ビルボード』。前哨戦でリードする上位7作品はほぼ確実に作品賞候補を手にしそうな勢いを感じる。
問題は残りの数本。『I,Tonya』や『ビッグ・シック』を筆頭に次点3作や、はたまた『ウィンストン・チャーチル』といった作品もあるが“5%の会員の1位票”を獲得するという点についてはややネックなところだろうか。そして『ペンタゴン・ペーパーズ』の存在感がやや危うくなってきているとの話も……。
<監督賞>
▲マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』
◯ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』
ルカ・グァダニーノ『君の名前で僕を呼んで』
◎グレタ・ガーウィグ『レディ・バード』
ジョーダン・ピール『ゲット・アウト』
作品賞最有力の『スリー・ビルボード』、GG賞受賞の『シェイプ・オブ・ウォーター』、GG賞で漏れて大騒動となった『レディ・バード』は安泰ライン。
残りの2枠だが、顔ぶれのバランスを考えると、アイルランド人マクドナー、メキシコ人デル・トロ、アメリカ人女性ガーウィグと、例年の流れであればアメリカ白人男性監督が入りそうだが、あえてそこを外すチョイスで行くならジョーダン・ピールと、イタリア人監督ルカ・グァダニーノか。ノーラン……うーん。
<主演男優賞>
◎ゲイリー・オールドマン『ウィンストン・チャーチル』
◯ティモシー・シャラメ『君の名前で僕を呼んで』
ダニエル・カルーヤ『ゲット・アウト』
ダニエル・デイ=ルイス『ファントム・スレッド』
ジェームズ・フランコ『The Disaster Artist』
4人はほぼ安泰のところ、ジェームズ・フランコが直前に出たセクハラ疑惑の余波を受けるのかが大きな課題。代わりになるのはトム・ハンクスか、デンゼル・ワシントンか、はたまたスティーブ・カレルだろうか。いや、クメイル・ナンジアニだな。
<主演女優賞>
◎フランシス・マクドーマンド『スリー・ビルボード』
サリー・ホーキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』
シアーシャ・ローナン『レディ・バード』
マーゴット・ロビー『I,Tonya』
メリル・ストリープ『ペンタゴン・ペーパーズ』
こちらも上4人がほぼ安泰。残り1枠はまあ、アカデミー賞ですから。メリルでいいでしょう。
逆転するならポストメリルのジェシカ・チャスティンか、外国映画枠で『ナチュラルウーマン』のダニエラ・ヴェガあたり。いずれにしてもメリルよりパワーは数倍劣る。
<助演男優賞>
◎サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』
ウッディ・ハレルソン『スリー・ビルボード』
ウィレム・デフォー『フロリダ・プロジェクト』
リチャード・ジェンキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』
マイケル・スタルバーグ『君の名前で僕を呼んで』
こちらも3〜4人は安泰ライン。
『君の名前で僕を呼んで』のアーミ・ハーマーかスタルバーグか、といったところだが、『スリー・ビルボード』が2枠もらいそうな勢いがあることを考えたら、こちらは1枠止まり。他の有力どころがあまりいない部門。
<助演女優賞>
◎アリソン・ジャーニー『I,Tonya』
ローリー・メトカーフ『レディ・バード』
オクタヴィア・スペンサー『シェイプ・オブ・ウォーター』
メアリー・J.プライジ『マッドバウンド 哀しき友情』
ホリー・ハンター『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
今年最大の混戦模様なのはこちらの部門。受賞レースではジャーニーとメトカーフの一騎打ち。残り3枠は誰が入ってもおかしくない様相で、他に『ダウンサイズ』のホン・チャウや、『ファントム・スレッド』のレスリー・マンヴィル、『Girls Trip』のティファニー・ハディッシュあたりがいるけれど、何だか誰もしっくりこない。
<脚本賞>
◎『スリー・ビルボード』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『レディ・バード』
『ゲット・アウト』
『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』
わりとサプライズが目立つこの部門ではあるが、今年は『スリー・ビルボード』で堅そうな予感。基本的に作品賞候補作で固められるだけに、有力作が並ぶ。『ビッグ・シック』は作品よりも脚本で評価されそう。
逆転するなら『リメンバー・ミー』や『フロリダ・プロジェクト』あたりか。
<脚色賞>
◎『君の名前で僕を呼んで』
『モリーズ・ゲーム』
『マッドバウンド 哀しき友情』
『The Disaster Artist』
『Wonder』
今年何らかのサプライズがあるならここか。近年稀に見るウィークイヤーで、それだけ作品賞部門がオリジナル作品で埋め尽くされているというポジティブな見方もできるのだが。
『君の名前で僕を呼んで』がリードして、製作者組合賞にも滑り込んできた『モリーズ・ゲーム』が勢いを増すか。『ブレードランナー2049』や『ワンダーウーマン』、『ローガン/LOGAN』が主要部門で入ってくるならここ。
<撮影賞>
『シェイプ・オブ・ウォーター』
◎『ブレードランナー2049』
『ダンケルク』
『君の名前で僕を呼んで』
『マッドバウンド 哀しき友情』
下馬評通りの3作品に、映像美が売りの『君の名前で僕を呼んで』、そして女性撮影監督の初ノミネートを期待して『マッドバウンド』を。
<編集賞>
◎『スリー・ビルボード』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ダンケルク』
『レディ・バード』
『ペンタゴン・ペーパーズ』
ここは作品賞有力どころが並ぶか、ずば抜けた作品が入れば入り込んでくる部門。逆転があるなら『ゲット・アウト』あたりか。案外『ブレードランナー2049』が入ってきてもおかしくないところ。
<美術賞>
◎『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ペンタゴン・ペーパーズ』
『レディ・バード』
『ブレードランナー2049』
『美女と野獣』
前哨戦となる組合賞を参考にしつつ、例年通りピリオド部門とファンタジー部門を中心に、入る割合は少なくともコンテンポラリー部門の『レディ・バード』はなかなか強そう。『スリー・ビルボード』の逆転候補入りも期待十分。
<衣装デザイン賞>
◎『ファントム・スレッド』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『美女と野獣』
『オリエント急行殺人事件』
『レディ・バード』
こちらも組合賞を参考にしつつ、ピリオド部門に重きを。明確なコスプレ映画と呼べる作品がないこと、『Victoria and Abdu』が組合賞漏れしていることが難しくさせている。
<メイキャップ&ヘアスタイリング賞>
◎『I,Tonya』
『ウィンストン・チャーチル』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』
こちらは例年通り3作品。チャーチルとトーニャのそっくりメイク合戦に、アメコミ作品が追随。むしろエントリー7作品の中からなので、他の『ブライト』『ゴースト・イン・ザ・シェル』『VIctoria and Abdul』『Wonder』の中なら『Wonder』が来るか。
<視覚効果賞>
◎『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ダンケルク』
『猿の惑星:聖戦記』
『ブレードランナー2049』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
こちらも最終選考の10作品からのチョイス。他に可能性があるとすれば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』ぐらいだろうか。
主軸は『シェイプ・オブ・ウォーター』
<録音賞>
◎『ダンケルク』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ブレードランナー2049』
『ワンダーウーマン』
『ベイビー・ドライバー』
録音監督組合賞の候補作から、『スター・ウォーズ』を外して『ブレードランナー2049』にしてみた感じですね。なかなか難しい部門。
<音響編集賞>
『ダンケルク』
◎『シェイプ・オブ・ウォーター』
『ゲット・アウト』
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
『ベイビー・ドライバー』
こちらは組合賞がノミネート前日に発表のため、録音賞との兼ね合いを考えながらチョイス。前作が候補入りをした『スター・ウォーズ』を選択。
<作曲賞>
◎『シェイプ・オブ・ウォーター』
『スリー・ビルボード』
『ペンタゴン・ペーパーズ』
『リメンバー・ミー』
『ファントム・スレッド』
こちらもちょっと難しめな部門。比較的作品賞と重なりやすい傾向もありつつ、『ペンタゴン・ペーパーズ』よりは『君の名前で僕を呼んで』が入ったら面白いかなと。
<オリジナル歌曲賞>
◎「Remember Me」『リメンバー・ミー』
「Mystery of Love」『君の名前で僕を呼んで』
「Mighty River」『マッドバウンド 哀しき友情』
「Evermore」『美女と野獣』
「This is Me」『グレイテスト・ショーマン』
『Ferdinand』や『君の名前で僕を呼んで』のもう一曲が逆転する予感も漂う。『メアリと魔女の花』が入って欲しい気も。
<外国語映画賞>
『ナチュラルウーマン』(チリ)
『女は二度決断する』(ドイツ)
◎『ラブレス』(ロシア)
『フォックストロット』(イスラエル)
『The Wound』(南アフリカ)
主役級不在の今年。前哨戦のGGで勝ち上がったドイツは入るとして、南米枠からチリと、評価が高いロシアはほぼ確定。残り2枠にアジア枠でイスラエルとレバノンの一騎打ちと、ヨーロッパの映画祭勝ち作品2作かアフリカ勢か。最近の傾向的に南アフリカ作品に期待。
<アニメーション映画賞>
◎『リメンバー・ミー』
『ボス・ベイビー』
『ゴッホ 最後の手紙』
『The Breadwinner』
『この世界の片隅に』
今年から投票形式が変わって傾向が掴みづらいとはいえ、『リメンバー・ミー』の独走は揺るがず。配給会社的に弱いとはいえ、『ゴッホ』と『この世界の片隅に』に期待。
<ドキュメンタリー映画賞>
『アレッポ 最後の男たち』
『チェイシング・コーラル』
『City of Ghost』
◎『Jane』
『Faces Places』
題材と受賞歴で判断するのが無難ながらも、波乱が起きやすい部門。フレデリック・ワイズマンかアニエス・ヴァルダかで悩むところではあるが、名誉賞受賞の効果でヴァルダをチョイス。有力なのは『Jane』だろうか。
<短編ドキュメンタリー賞>
『Edith+Eddie』
『Kayoko The Living Shopping Basket』
『116cameras』
『Alone』
◎『Heaven is a Traffic Jam on the 405』
<短編映画賞>
◎『The Silent Child』
『Witnesses』
『All of Us』
『Icebox』
『My Nephew Emmett』
<短編アニメーション賞>
◎『Lost Property One』
『きつねとクジラ』
『Dear Basketball』
『ルー/LOU』
『へそまがり昔ばなし』
短編3部門もエントリー作品から題材と受賞歴を加味して判断。短編ドキュメンタリー賞は自信がかなりないけれど、短編実写映画作品は子供が主人公の『The Silent Child』、短編アニメーション賞は『Lost Property One』が良さげ。『へそまがり昔ばなし』は2部で80分ぐらいあるけど、審査対象なのだろうか?
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