【余談】第87回アカデミー賞と第88回アカデミー賞と第89回ぐらいまで使えそうな、近年作品賞候補の監督たちの新作まとめ(2014/6/14時点)

近年に限らず、ノミネートor受賞経験者の作品がオスカーレースを賑わす傾向が強いので、
せっかくなので前10年間で作品賞候補に挙がった作品の監督の新作情報(すでにimdBに挙がっているもののみ)をまとめてみました。
それ以外にも噂など多々ありますが、それらはちょっと省きました。

重複している監督は、近年の方の組に入れております。




【2013年組】
『アメリカン・ハッスル』デヴィッド・O.ラッセル
→(2014)『Nailed』……ジェイク・ギレンホール、ジェシカ・ビール共演のロマンティックコメディのよう。賞レース向きではない。
(2015)『Joy』……ジェニファー・ローレンスを主演に迎えて、2015年クリスマス公開予定との噂。これは賞レース狙いか。


『あなたを抱きしめる日まで』スティーブン・フリアーズ
→『(題未定)』プロロードレーサー、ランス・アームストロングの伝記映画を予定中。公開はまだ先。


『ダラス・バイヤーズクラブ』ジャン=マルク・ヴァレ
→(2014)『Wild』……オスカー女優リース・ウィザースプーンを主演に、ニック・ホーンビィ脚本作で今年もオスカーレースへ参戦。


『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』マーティン・スコセッシ
→(2015)『Silence』……遠藤周作原作を悲願の映画化。現時点で第88回アカデミー賞最有力。



【2012年組】
『レ・ミゼラブル』トム・フーパー
→(時期未定)『The Danish Girl』……エディ・レッドメインを主演に、世界初の性転換を行ったデンマーク人画家の物語。これはオスカー向き。


『ジャンゴ/繋がれざる者』クエンティン・タランティーノ
→(時期未定)『The Hateful Eight』……サミュエル・L.ジャクソン主演でまたしても西部劇。今年の秋から撮影開始だがはてさて。


『リンカーン』スティーブン・スピルバーグ
→(時期未定)『(題未定)』……トム・ハンクスを主演に、脚本にコーエン兄弟が参加する冷戦時代を描いた物語。賞向け?まだ何とも言えない。


『愛、アムール』ミヒャエル・ハネケ
→(2015)『Flashmob』……賞レースには来ないと思います。来ないでください。



【2011年組】
『アーティスト』ミシェル・アザナヴィシウス
→(2014)『The Search』……『山河遙かなり』のリメイクに挑む。カンヌで辛口評価を受けるも、賞レース参戦は批評家次第。


『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』スティーブン・ダルドリー
→(2014)『Trash』……もちろん今年も賞レースへ。さあどうなるか。
(一時期噂のあった『Wicked』の映画化はどうなったのやら……)


『ヘルプ 心がつなぐストーリー』テイト・テイラー
→(2014)『Get on Up』……『42』でひっそり賞レースに顔を出したチャドウィック・ボウズマンをジェームズ・ブラウンに。ユニヴァーサルはダルドリーで来なければこれで来る?

『ミッドナイト・イン・パリ』ウディ・アレン
→(2014)『Magic in the Moonlight』……今度はエマ・ストーンに目を付けた!第1弾はコリン・ファースを添えて。助演女優にはマーシャ・ゲイ・ハーデンとジャッキー・ウィーヴァーだよ。
(2015)『(題未定)』……今度はエマ・ストーンに目を付けた!第2弾はやんちゃなホアキン・フェニックスと共に。目指せ二人揃って授賞式ボイコット。


『マネーボール』ベネット・ミラー
→(2014)『FOXCATCHER』……超目玉作が1年遅れで登場。今年の賞レースの代表一番乗り。


『ツリー・オブ・ライフ』テレンス・マリック
→(2014)『Knight of Cups』……今年の賞レースに間に合うのでしょうか。
(2015)『(題未定)』……来年の賞レースに間に合うのでしょうか。
(2016)『Voyage of Time』……再来年の賞レースに(以下ry



【2010年組】
『インセプション』クリストファー・ノーラン
→(2014)『インターステラー』……いま最も旬の俳優マシュー・マコノヒーを迎え、狙うは悲願の監督賞候補!作品賞入りは安泰?


『ブラック・スワン』ダーレン・アロノフスキー
→(2014)『ノア 約束の舟』……作品賞入りは危うい。興行的にはまずまずなので、技術部門で狙えるだろうか。


『127時間』ダニー・ボイル
→(時期未定)『Porno』……『トレイスポッティング』の続編。賞レースはたぶん無い。


『ソーシャル・ネットワーク』デヴィッド・フィンチャー
→(2014)『Gone Girl』……オスカー監督ベン・アフレックを主演にしたサスペンスで今年も賞レース参戦。健闘を祈る。


『トゥルー・グリット』コーエン兄弟
→(時期未定)『Hail, Caesar!』……ジョシュ・ブローリンとジョージ・クルーニー主演で久々のコメディ。賞レース狙ってきているようには思えないけど、愛されているからわからない。

『ウィンターズ・ボーン』デブラ・グラニク
→(2014)『Stray Dogs』……戦争ドキュメンタリー。ドキュメンタリー部門に絡むのかどうか、要注目。



【2009年組】
『アバター』ジェームズ・キャメロン
→(2016〜2018)『アバター』2〜4……うん。


『第9地区』ニール・ブロムカンプ
→(2015)『Chappie』……今度はヒュー・ジャックマンでアクションスリラー。もう賞レースには……。

『17歳の肖像』ロネ・シェルフィグ
→(2014)『Posh』……戯曲の映画化で、秋に英国公開。賞レースを狙ってくるならアメリカ公開もあるが、小品な感じ。


『マイレージ、マイライフ』ジェイソン・ライトマン
→(2014)『Men, Women & Children』……昨年は『とらわれて夏』でいまいち乗れなかった賞レース。今回もコメディに転じては難しそう。



【2008年組】
『フロスト×ニクソン』ロン・ハワード
→(2015)『Heart of the Sea』……またクリス・ヘムズワースを主演にした実話もの。『ラッシュ』で完全無視されたことが気にかかるけども。


『ミルク』ガス・ヴァン・サント
→(時期未定)『Sea of Trees』……マシュー・マコノヒー、ケン・ワタナベ、ナオミ・ワッツで、自殺やら富士山やら……樹海か!



【2007年組】
『つぐない』ジョー・ライト
→(2015)『Pan』……実写版ピーターパン。うん。いいんじゃない。


『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』ポール・トーマス・アンダーソン
→(2014)『Inherent Vice』……ホアキン・フェニックスを再び主演に、探偵映画。今度こそ『ザ・マスター』の雪辱を果たす。


【2006年組】
『バベル』アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
→(2014)『Birdman』……コメディって、あんたそんな人だったっけ?
(2015)『The Revenant』……トム・ハーディとレオナルド・ディカプリオ??ちょっと気になるけど、賞レース向きではなさそう。


『リトル・ミス・サンシャイン』ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
→(時期未定)『I'm Proud of you』……内容がまだ不明確なのであれですけど、前作の流れからすると、今回も無視されかねない気も。。。


『硫黄島からの手紙』クリント・イーストウッド
→(2014)『Jersey Boys』……一時は俳優引退を宣言したイーストウッドさん。撤回して映画出ちゃうし、まだ撮るみたいだし。楽しみにしています。今年の賞レースの有力作のひとつ。


※2005年組(ジョージ・クルーニー、ポール・ハギス)、2004年組(テイラー・ハックフォード、マーク・フォスター)には次回作の予定が上がっていなかったので省略させていただきます。





【予想】第87回アカデミー賞予想【作品賞1】

第87回アカデミー賞の予想をそろそろ本格的に始める季節が始まりました。
まずは作品賞予想から。(わりと真面目に予想しています←)

ノミネート予想10本と、気になる作品20本をピックアップして紹介します。
ノミネート予想の方はポスターがすでに公開されているものは画像あげておりますが、それ以外はまだ作品のポスターがでていないものです。




<作品賞>

【LOCK】
『FOXCATCHER』(ソニーピクチャーズ・クラシック)

『カポーティ』『マネーボール』と2作続けてストライクを決めたベネット・ミラーの新作。1年の公開延期がどう響くか懸念されていたが、カンヌ国際映画祭で熱狂の嵐。昨年同様にこの時点では大本命は揺るがない。


『グランド・ブダペスト・ホテル』(フォックス・サーチライト)

映画ファンに愛されるウェス・アンダーソン。オスカーでは脚本の評価に留まってきたが、本作はスプリングシーズンのサプライズヒット作として堂々と君臨。ついに作品賞レースに名乗りを上げるマスターピースを生み出した。


【LIKELY】
『Gone Girl』(20世紀フォックス)

一昔前のカルト監督臭はどこへやら。すっかり巨匠の貫禄をつけたフィンチャーが挑む良質なサスペンス映画に今度こそオスカーを。毎度安定の編集賞と作曲賞はすでに射程圏内だろうか。


『インターステラー』(パラマウント)

『ダークナイト』3部作を完結へ導いたクリストファー・ノーランの新作は宇宙を題材にしたSF。老会員にはまたしても受け容れ難い作品……いや、それでも作品賞入りは問題ない。あとは悲願の監督賞候補だけ!


『Wild』(フォックス・サーチライト)

昨年『ダラス・バイヤーズクラブ』で湧かせたジャン=マルク・ヴァレが、今度はオスカー女優を迎え、脚本にはニック・ホーンビィ。『食べて、祈って、恋をして』と同じ匂いがしているとの声もあるが……。


『Big Eyes』(ワインスタイン・カンパニー)

みんな大好きティム・バートンが、久しぶりにオスカーを狙ってきた! 違う、狙っているのはバートンではなくワインスタインだ。年末滑り込み上映は彼の本気の証。今年のワインスタインはこれ一本で勝負してくる可能性も。


『Inherent Vice』(ワーナー)

『ザ・マスター』で作品賞漏れをするという大波乱と、盟友フィリップ・シーモア・ホフマンの死を乗り越えて、再びホアキン・フェニックスとコンビを組むPTA。原作はトマス・ピンチョンの人気探偵小説。怖い怖い。



【SHAKY】
『Boyhood』(IFCフィルムズ)

意外なほどにオスカーとは縁の遠い人気者リチャード・リンクレイター。昨年の『ビフォア・ミッドナイト』で再び実力を認められた彼が、ついに見せた本気の映画にベルリンが揺れた。相棒イーサン・ホークと共に念願のオスカーへ。


『Jersey Boys』(ワーナー)

21世紀に入ってからほぼ毎年のように新作を発表し続けてきたイーストウッドが3年の沈黙を経て発表する音楽ドラマ。批評家受けも大衆受けも文句ないがこの手の作品はことごとく本番で敗退しているのが気にかかる……。


『Trash』(ユニヴァーサル)

デビュー作から4作続けて作品賞か監督賞のどちらかに必ずノミネートされるという、前例の無い愛され方をするイギリス人監督スティーブン・ダルドリー。作品のタッチが評価されづらいものでも彼には関係の無い。4度あることは5度ある。





【その他】
『a Most Violent Year』(A24)
毎度良質な脚本力を見せるJ.C.チャンダーのクライム・ドラマ。昨年の『オール・イズ・ロスト』で盛大に無視されたことを引きずってしまいそうな予感。

『Annie』(コロンビア)
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』で鮮烈なデビューを飾ったクヮヴェンジャネ・ウォレスが名作ヒロインへ。お母さんの名マネージャーぶりを思い出します。

『The Disappearance of Eleanor Rigby:THEM』(ワインスタイン)
男女の視点それぞれで描く斬新なラブストーリー。カンヌで上映されたバージョンでアメリカ公開するも、複数バージョンあるのは如何に。狙うは脚本賞。

『Far from Madding Crowd』
幾度も映画化されている「遙か群衆を離れて」をデンマークの鬼才がリメイク。絶妙なキャストが揃うも、47年前のリメイク時は作曲賞候補止まり。

『the Fault in Our Stars』(20世紀フォックス)
人気青春小説の映画化に『ウォールフラワー』『今日、キミに会えたら』を思わせる傑作感漂うが、オスカー受けは如何に。主演は今年もっとも注目のヒロイン。

『Fury』(コロンビア)
ブラッド・ピットと若手イケメン俳優たちの戦争アクション。この手の映画はオスカー受けしなさそう。デヴィッド・エアーの腕次第。

『Grace of Monaco』(ワインスタイン)
ニコール・キッドマンがグレース・ケリーに変身!といってもあまり変わっていない。「第二の『ダイアナ』」?カンヌの評価はぼろぼろ。

『The Homesman』(サバンフィルムズ)
トミー・リー・ジョーンズ2作目の監督作はカンヌでもまずまずの評価。前回同様批評家受け止まりか。西部劇の健闘を皆期待している。

『The Hundred-foot Jouney』(タッチストーン)
すでに終わった監督と揶揄されているラッセ・ハルストレムが、オスカー常連のヘレン・ミレンを迎えて描くインド人家族の物語。ポスターがダサい。

『Into the Woods』(ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ)
ロブ・マーシャルが豪華キャストを揃えて贈るファンタジーもの。注目が集まるのは魔女役をそのままでもできるメリル・ストリープだけ。

『The Judge』(ワーナー)
復活したロバート・ダウニーJrが弁護士役?個性的なキャストが揃うサスペンスドラマだが、監督はコメディ出身。

『Kill the Messanger』(フォーカス)
インディーズの女王メアリー・エリザベス・ウィンステッドとジェレミー・レナー共演の実録犯罪もの。この手の映画も敬遠されがち……。

『Knight of Cups』
過去の寡作家は何だったのか。近年新作を次々に発表するテレンス・マリックだが、相変わらず延期はお家芸。今年はもう一本あるみたいだけど、はてさて。

『Magic in the Moonlight』(ソニーピクチャーズ・クラシック)
いまだに衰え知らずのウディ・アレンが、エマ・ストーンに目を付けた!またしても狙うは脚本賞。授賞式来ないからいけないんだよ。

『Maps to the Stars』(eONE)
すっかり巨匠感漂うデヴィッド・クローネンバーグの新作。今回も難解な話だと嫌われますよ。カンヌで女優賞に輝いたジュリアン・ムーアに票が集まるか。

『The Search』
前作『アーティスト』で頂点に輝いたミシェル・アザナヴィシウスが、名作『山河遥かなり』のリメイクに挑む。カンヌでは伸び悩んだ評価。

『Serena』
デンマークの女性監督の初アメリカ映画に、ジェニファー・ローレンスとブラッドリー・クーパーのコンビ。もはやセット売り状態?

『Suite Francaise』(ワインスタイン)
占領時代のフランスを舞台にしたラブ・ロマンス。ミシェル・ウィリアムズの演技賞と、衣装デザイン賞狙いか?

『Unbroken』(ユニヴァーサル)
アンジェリーナ・ジョリー監督作ということで、早くも批評家受けは絶大。このままオスカーに行けるのか、題材の重さに敬遠されるかも。

『Whiplash』(ソニー・ピクチャーズ・クラシック)
サンダンス映画祭で頂点に輝く音楽青春ドラマ。監督も役者も上昇株だけに注目が集まるが、配給会社内でのプッシュ次第。