第2回目の今回は、外国語映画賞について考察していこうと思います。
昨年は史上最多の83カ国が出品しましたが、今年は81カ国からの出品に止まりました。
(パナマが規定を満たしておらず、失格になったこともあり)
例年エントリーする国では、インドネシアやニュージーランド、エジプトやキューバあたりがエントリーしていないのが見受けられます。
また、今年はパラグアイが初出品という感じですね。
この中から、おそらく9作品が最終選考に進み、そこから5作品がノミネートにこぎつけるものだと思われます。
ちなみに昨年は、
アルゼンチン
エストニア
ジョージア
モーリタニア
オランダ
ポーランド
ロシア
スウェーデン
ヴェネズエラ
の9カ国が残り、ポーランド・アルゼンチン・エストニア・ロシア・モーリタニアが残ったわけです。
一昨年は
ベルギー
ボスニア・ヘルツェゴビナ
カンボジア
デンマーク
ドイツ
香港
ハンガリー
イタリア
パレスチナ
が残り、ベルギー・イタリア・デンマーク・パレスチナ・カンボジアがノミネートに残ったという感じでしたが、この二年からわかる通り、
・圧勝が噂されている作品
・それ以外は各地域から一本
という見方で良いのではないだろうか。
昨年で見てみると、
・圧勝枠(ポーランド)
・南米枠(アルゼンチンvsヴェネズエラ)
・CIS枠(ロシアvsジョージア)
・ヨーロッパ枠(エストニアvsスウェーデン、オランダ)
・アフリカ枠(モーリタニア)
一昨年では、
・圧勝枠(イタリア)
・アジア枠(カンボジアvs香港)
・ヨーロッパ枠(デンマーク、ベルギーvsドイツ、ハンガリー)
・東欧/西アジア枠(パレスチナvsボスニア・ヘルツェゴビナ)
まあこの年はヨーロッパに比重が大きかったこともありますが、ヨーロッパ勢はやはりこの部門に強いわけです。
今年も、有力作品をエリアごとに見ていきましょう。
その前に、今年の圧勝枠は、ハンガリーの『サウルの息子』で間違いないでしょう。現時点で、ソニーピクチャーズの配給で全米公開も決まり、作品賞や他の部門への候補も噂されているぐらいですから。
<アジア>
今年のアジア枠はおそらく侯孝賢の『黒衣の刺客』で堅いかと。
イランのマジット・マジディ『Muhammad:The Messenger of God』やインドの『Court』あたりは比較的強い作品ではありますが、それでも『黒衣の刺客』ほどのポテンシャルは秘めていないようにも思えます。大逆転があるとすれば、近年候補経験のあるカンボジアの『シアター・プノンペン』でしょうか。
<南米枠>
こちらも近年ノミネート率が急上昇している南米。
受賞歴やオスカーとの相性を考えると、チリの『ザ・クラブ』とグアテマラの『火の山のマリア』の一騎打ちとなりそうな予感。どちらも日本ではこの秋のラテンビート映画祭で上映された作品。後者の方が有力か……。
<ヨーロッパ枠>
ヨーロッパ枠は今年の感じでは2本が候補入りしそうな予感。
ほぼ確実にノミネートされるであろう、前述の『サウルの息子』が東欧ハンガリーの代表なので、北欧と西欧から一本づつがバランスがいいであろうか。
そうなると、西欧からはフランスの『Mustang』が勢いに乗っている。逆転があるとするなら、ポルトガル代表のミゲル・ゴメス『Arabian Nights: Volume2』やスペインの『フラワーズ』あたりかと思うが、果たして。
北欧勢は群雄割拠。すでに日本公開しているドイツの『顔のないヒトラーたち』も有力ではあるが、『サウルの息子』がアウシュビッツ題材なので、被ってしまう危惧は捨てきれない。そうでなくとも、ヴェネツィアで金獅子賞を勝ち取ったスウェーデンの『さよなら、人類』と、カンヌのある視点部門グランプリのアイスランド『ひつじ村の兄弟』が強力なので、この2作が争う感じか。
他の地域ではロシアのニキータ・ミハルコフ『Sunstroke』や、ポーランド代表のイエジー・スコリモフスキ『11 Minutes』が気になるところ。またクロアチア『灼熱の太陽』やヨルダン『Theeb』あたりも入ってもおかしくないだろう。
ノミネート予想
◎『サウルの息子』ハンガリー
『火の山のマリア』グアテマラ
『黒衣の刺客』台湾
『Musutang』フランス
『さよなら、人類』スウェーデン
-----------------(Nomination Line)------------------
『シアタープノンペン』カンボジア
『ザ・クラブ』チリ
『ひつじ村の兄弟』アイスランド
『灼熱の太陽』クロアチア
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